分かってみればどうということはない

サピックスα1で2024年中学受験を目指した息子と理系リーマンパパの生活雑記帳

失敗は成長に欠かせないもの~「失敗の科学」を読んで

ビジネス書の名著で良く名前が上がる「失敗の科学」を先日読みました。参考になったところのメモになります。

 

購入した本

イギリス『タイムズ』紙の第1級コラムニスト/ライターの書かれた本です。

失敗は成長に不可欠

  • 失敗との向き合い方で進歩するかが決まる
    • 医療業界(向き合わない業界)
      • アメリカでは10人に1人が医療過誤で死亡か健康被害。
      • 医療ミスを隠す業界。
      • 医学生ですら「ミス」は「複雑な事態」と呼ぶように学ぶ。
    • 航空業界(向き合う業界)
      • ジェット機は100万飛行で0.23回の事故しか起きていない
      • 兎に角失敗はデータとして共有される業界
      • ミスの報告を処罰しない
        •  10日以内に提出すれば処罰されない
        • エラーレポートには操縦士が特定できない仕組み
  • 失敗を隠すと進歩しない
    • クローズドループと呼ばれる(失敗や欠陥が放置されたり曲解される)
  • 失敗も経験しないと学習できない
    • 失敗しない占いは200年ままり有意義な進歩をしていない
    • 失敗が無いのは暗闇のゴルフ。球筋がわからないので改善しようがない
    • 失敗によるフィードバックは道を示す明かり
  • 失敗を活かすために必要なもの
    • 失敗する学習チャンスを活かすシステム。
    • 末端スタッフが組織へ報告できる雰囲気。

人は嘘を隠さずに信じ込む

  • 失敗から学ぶのは困難なのは失敗してるのに「失敗していない」と信じるから
  • 冤罪も隠される
    • 人は過ちを認めるのは嫌い
    • DNAの発明で沢山の無罪が証明されたが司法も誤りを認めたがらない。
  • 失敗しても解釈を塗り替える
    • 世界が滅亡を予言して滅亡しなくても、我々の力で救ったと解釈する
  • 自尊心がある人ほど学びを妨げる
    • 組織の上層部に行けば行くほど失敗を認めたくなくなる
  • 間違った仮説をぬけだすには失敗することが一番早い

出来事の原因はそんな単純ではない

  • 出来事は複雑なのに単純化することが多い
    • スポーツ敗戦記事が良い例。複雑なのに「監督の◯◯のせい」と掻き立てるし、読みてもわかりやすい。
  • 知識だけで実戦せずにビジネスをすすめがち
    • わかっているから「やる必要は無い」と考える罠
    • 「論理知識」と「実戦知識」が成長には必要
  • ひたすら考えれば最適解が得られるというのは誤解。
    • 考えるより、実戦してフィードバックから始める
  • 「甘く響くもっともらしいこと」は疑うべき
    • 血を抜く治療を妄信的に中世の医師は信じていた
  • 「成功事例」「失敗事例」全体を見る観点が必要
    • 反事実に目を背けるとフィードバックができない

難問は諦めず色々失敗して小さな改善を積み重ねる

  • 色々失敗して小さな改善を積み重ねるのが大きな成功に
  • アフリカへの教育援助の例
    •  教科書を無償配布(英語が読めず失敗)⇒視覚教材にした(失敗)⇒害虫の駆除薬の配布(成功)⇒寄生虫が発育不良や無気力の原因だった
  • 「自分の失敗を認める姿勢」と「失敗から学ぶ意思」がとても重要

犯人探しバイアス

  • 数々の未知な状況に陥ったトラブルに対して、ベストに対応した優秀なパイロットでさえ、責められて自殺する事件が起きている。
  • 脳には非難プログラムがある
    • なにか間違いがおきると誰の責任か追求することに気を取られる
    • 複雑な出来事も◯◯の責任だ直感的な結論にしがち
  • 企業もなにかといえば非難にはしる
    • 腐ったりんごのせいといえば企業イメージが損なわれない
    • 実際社内ミスで責められるべきはせいぜい5%程度というデータも
  • 罰則を強化してもミスは減らず隠されるので意味が無い。
  • 「犯人探し」でなく「複雑さを受け入れる」のが大事

失敗を受け止めるマインド

  • 失敗の受け止め方のマインドが重要
    • 失敗から学べて成長する人
      • 失敗は成長のために欠かせないと受け止める人
      • 失敗は学習のチャンス
      • 諦める判断を合理的に(恥ずかしがらず)行い、他のことに挑戦
      • ベッカムは大量の失敗したフリーキック映像が浮かぶ
    • 失敗から学べない人
      • 失敗を自分に才能がない証拠としてうけとめる
      • 失敗の理由を「才能」「知性」「適正(向いていない)」に求める
      • 失敗は「不名誉なも」とみなす(日本は特にこの傾向)
  • 現代社会では成功は一夜でできるという幻想が広まっているが、長い長い時間数々の失敗をしてたどり着くもの。

失敗と人類の進化

  • 17世紀まで西洋科学の進化は一度とまった
    • キリスト教に反するものは冒涜として処罰されていた。
    • 「誤り:は災厄となり学ばれず、宗教的世界観は固定されていた
  • 以下3つの質問にすべてNOなら学習していない証拠
    • あなたは判断を間違えることがありますか
    • 間違った方向に進んでいることを知る手段はありますか
    • 客観的なデータを参照にsて判断のぜひを問う機会はありますか
  • すべてを「失敗ありき」で設計するのが進化のプロセスを歩むコツ。

おわりに

題名は「失敗の科学」とアカデミックな香りがして重そうですが、中身はリアルに起きたトラブル事例をふんだんに扱っており、ハラドキの小説を読んでいるように楽しめました。

「失敗しないのは闇夜のゴルフでフィードバックできない」

が結構印象的なフレーズでした。