15年以上前のかなり古い本なのですが、中学受験本として結構評価の高い本だったので私個人も2回ほど読み返しました。ご参考になるように紹介したいと思います。
どんな人向けか?
中学受験を検討している方は勿論のこと、主人公は武蔵中学を目指すため、同じ大学狙いなら問題の傾向なども踏み込んだ記載が多いので得るものは多いです。
また、エリート評論家の受験ノウハウ本のように「ああせい、こうせい」ではなく失敗も含めた受験を経験してきた実体験に基づく話しなので、ああせい本で食傷気味のときは、ちょっといい風になる本になると思います。
あらずじざっくり
学童が終わり公立中の不安から消去法から中学受験を目指し、日能研→個別塾→早稲田アカと転塾して、最終的には武蔵中学に合格するお父さん主導型受験体験記です。
辛い受検イメージをお父さんが子供の個性を見極めて、塾や志望校を選んだり、子供のモチベーションを高めているところが特に面白いです。
17章に及ぶ体験記ですが、参考になったところを①中学受験の考えと②トラブルイベントに分けてご紹介したいと思います。
①中学受験の考え
中学受験は親子で色々楽しめる
- 知的興奮の楽しさ
- 「人々が黄金を求めるのは何故か?」のような問題を親子で協力して解いていくサークル活動のような楽しさがある。
- 旅行先やツール選びの楽しさ
- 塾選びはゴルフのクラブ選び。
- 志望校選びは家族旅行先の楽しさ。
- 家族で文化祭、体育祭、学校説明会などにでかけて中学の特性をみつけ合うところを探すのが楽しい」。
- 過去問題をとく楽しさ
- 中学の特性を知り親がヤマをはってあてたときの楽しさ。
- 解いていると中学がどんな人を欲しがっているか見えてみる楽しさ。
消去法での中学受検
以下のような公立中への不安の消去法
- 公立に良い先生もいるが変な先生がやっぱりいる。
- 私立だと変な先生と当たる確率が2割に減る感覚。
- 一生懸命やっても手抜きでも公立先生の収入に差が出ない
- 競争原理が無いから堕落を生みやすい
- 内申書に縛られるので先生に気に入られようとするバイアスが働いてしまう。
- 「暴力」の前には正しさすらも無力
- 校内暴力があった時代の本ですので。
そのほか気になったところ
- 学校説明会は条件の優遇など表に出ない情報が聞ける。
- 対立する概念が軸の文章題が多いので、人工と自然、西洋と東洋、全体と部分、時間と空間、精神と物資ココらへんの概念を理解しておくと有利。
- 授業態度を見学すると色々参考情報が多い
- 先生が寝ている子を放置しているなど
- 受験当日は試験前の友達との待ち合わせはご法度
- どちらかが遅れるとどちらもやきもきしてしまう。
- 塾の激励会が朝にあっても行かないこと。
②トラブルイベントについて
子供のスランプ対応
何で勉強しているのかという壁
- 大抵子どもたちはこの問いにぶつかってスランプになる
- 答え例「わからないところを分かるようするのが勉強だよ」と言ってみる。
何でこの中学を目指しているのかという壁
- 著者は現場に答えがあるはずと何度も子供と中学に言ったそうです。で、子供がふと見つけたもので納得に至るシーンがありました。
- 「xx中学はxxくんがやりたいxxをずっとやっていられる中学だよ」という塾の先生のフォローもあったそうです。
疲れの壁
- 6年夏かなり疲れがたまった時期に、伊豆の海で思いっきり2日間遊んだ話がありました。塾も体調管理は重要と容認してくれたそうです。
転塾
①日能研→個別指導塾
「塾は成績が落ちるぞ落ちるぞと脅されながら勉強させられるところ。」という子供のコメントから転塾へ。
②個別指導塾→早稲田アカデミー
個別指導塾の以下を見かねて転塾
- 全体の勉強計画や学習予定が無い(管理している人が授業を見ていない)
- 具体的な欠点の報告が親に無い
父母トラブル
- お互いのメンタル緩和のため相手の話はとにかく聞くのがコツ
- 「もうちょっと受験のこと考えてくれよ」は父母間で全体言ってはいけないNGワードの一つ。
小学校との付き合い方
- 中学受験を快く思わない先生がいるので自分からはいわない
- 小学校イベントをやることを迷わない(最優先の軸足と決め手おく)
- やっておけば友達から白い目で見られない
- 小学校は人生の勉強、塾は学力の勉強 両方必要と割り切る。
おわりに
超古いほんで残念ながら電子書籍化はされていませんが、体験談だらけでビジネス臭がしないピュアな本で、中学受験検討しているときに雰囲気をつかむ上でも色々参考になる本だとオモイマス。
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